●ウイルス性胃腸炎
ウイルスによる急性胃腸炎です。ノロウイルスやロタウイルスが強い症状が出るため有名ですが、そのほかにも原因となるウイルスはたくさんあります。
ウイルスの感染により腸の動きが悪くなり、まず嘔吐症状、続いて下痢が出現します。高熱が出ることはあまりなく、38℃位までのことが多いです。
嘔吐がある間は少しずつ(一口ずつくらい)水分を取るように心がけましょう。お茶・お水だけだと糖分や電解質が不足するので、量が飲めない時はスポーツドリンクのような味のついたものや経口補水液がおすすめです。嘔吐症状が強い時は吐き気止めの座薬を使い、嘔吐を和らげます。また、水分が全く取れず、脱水症になっている場合は点滴をすることもあります。
1~2日すると嘔吐症状は徐々におさまり、下痢が出現します。まだお腹が本調子ではないので、脂っこいものは少なめにし、ゆっくり食べるようにしましょう。急にたくさん食べるとお腹が痛んだり、吐いてしまうことがあります。
下痢は大人であれば数日で治ってしまうことがほとんどですが、小さなお子様の場合、1週間、10日と続くこともあります。ウイルス性の感染症は自分の免疫で治す病気ですので、下痢をしている間は整腸剤を内服しながら治るのを待ちましょう。
吐いたものや便から伝染しますので、嘔吐物やおむつを処理した後は手洗いをしっかりしましょう。また、嘔吐のある時、下痢の回数が多い時は登園できません。
腹痛がどんどん強くなる、高熱が出る、血便が出るなどの時はウイルス性胃腸炎でない可能性がありますので、再診をお願いします。
●細菌性胃腸炎
細菌による急性胃腸炎です。食べたものに付着していたカンピロバクターやサルモネラ菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオなどが原因になる、いわゆる「食中毒」です。
高熱・腹痛・嘔吐・下痢という症状がありますが、ウイルス性胃腸炎に比べ一般に症状が強く、血便を認めることもあります。
細菌性胃腸炎を疑った場合、便の中に細菌がいるかどうかの検査(便培養検査)を行います。
細菌には抗生剤が効くので、細菌性胃腸炎と診断した場合、または、強く疑われる場合には整腸剤に加え抗生剤も使用します。